ある夏の終わりかけの日、1歳8か月の子どもが保育園でのお昼寝中に突然熱性けいれんを起こした。
よく食べ体力がある子で、熱も出さずあまり病気にもならない元気な子だったので驚いた。しかも昼まで元気にいつも通り水遊びなどしていた。
熱性けいれんをしたらすること
- 痙攣が始まった時間、痙攣が治まった時間を測る(何分痙攣していたか)
- 可能であれば動画を撮影しておく(あとで医師に見せるため)
- 痙攣時間が5分を超えたら救急車を呼ぶ
痙攣した日のこと
前日も当日の朝も元気によく食べた。昨夜も上機嫌で元気にいつも通り踊っていた。午前中、保育園でも先生も気付かない程、いつも通り保育園生活を、水遊びも楽しむ。
給食をいつも通り間食して、お昼寝をして10分ほどすると、突然むくっと起き上がり四つん這いになった。
少しすると目が上の方をむき出し、横になって倒れて痙攣し始めた。
保育園の先生たちが痙攣の時間を図ってくれた。
私も連絡を受けて保育園に急行し、子供に呼びかけるも反応が薄い。
いつもならすぐに起き上がったり目を見てくれるのに、顔面蒼白で体が震え目がうつろで、呼びかけに対し目だけがゆっくりこっちをみようとしているが、視線がぴったり合っているか微妙なライン。熱は38.6度。午前中も元気だったのに急に発熱したのか、熱が出る前兆がまったくなかった。(いつもなら発熱前は鼻水が出るとか、よくぐずるとか何かシグナルはあったのに)
私は初めての子供の痙攣で右往左往。熱性けいれんが子供に起きたらどうするか、前に頭でシミュレーションしたことはあったが、実際子供の痙攣を目の前にすると頭が真っ白になって、何かしなきゃいけないのに全く役に立たなかった・・その点、保育園の先生方は冷静だった。副園長先生はこどもの手を取り、痙攣の時間を正確に冷静に図る。担任の先生は痙攣の時間や痙攣までの状態を紙に書き記す。事務所の先生は、総合病院の救急に電話してくれたり、救急車を手配してくれた。ほかの先生は救急車が来るから保険証が必要ですよ、とか大丈夫だよと私のそばにいて落ち着かせてくれた。本当に先生方には頭が上がらない。
痙攣の時間が10分近く、痙攣は一回収まりまた始まったので、大きな総合病院の救急外来に連絡を取り支持を仰ぐ。救急車で来てくださいとのことで、救急車を呼ぶと2-3分ですぐ来てくれた。
救急車到着
抱っこして救急車に乗る。
すぐに心拍と血中酸素濃度を計測が始まる。
救急車の中では痙攣の様子を詳しく聞かれた。
動画があれば見たかったようだ。
子どもの保険証の提示を求められる、確認したらすぐ返却してくれる、同乗者は一名まで、同乗者の氏名と電話番号を書くようマーカーを渡される
救急車の中で10分くらい痙攣時の状況について聞かれた。すぐ病院に向かうわけではないんだなと思った。
その後、サイレンが鳴る中病院へ。あっという間。
救急外来に到着
子供をだっこして救急車を降りて救急外来へ。
入る前に子供のコロナチェック。鼻に長い綿棒のようなものを入れて検査。ぐったりして静かだった子供が痛くて一瞬目に力が入り検査するため顔を抑えてくれていた救急隊員の人を睨みそして泣く。そしてすぐまたぐったりする。
コロナの結果は1時間後にわかるようだ。救急外来の一角にあるビニールカーテンの部屋で検査しながら結果が出るまで1時間待機。
その間医師による問診。熱は39.2度だった。
熱性けいれんの熱が何に起因するものか調べるため血液検査も行われた。
1歳なため手の甲に注射をさし、そのまま点滴用のチューブに指し変わった。とりあえず水分の点滴が繋がれる。
医師による話
とても優しく雰囲気の良い先生で、丁寧に説明してくれた。
熱性けいれんは単発性熱性けいれんと複雑性熱性けいれんがあり、5分以内だと単発性、5~10分または痙攣が複数回あると複雑性に区分されるようだ。
今回子供は8分程度の痙攣を2回繰り返したので「複雑性熱性けいれん」との診断だった。
熱性けいれんの予後は良好であるとのこと。
熱性痙攣だが、その熱の原因が風邪などウイルスによるものであれば問題ないが、まれに脳症や髄膜炎などを起因とした熱の場合もある。その場合は後遺症のリスクも出てくる。そのため、脳症などが起きていないか見るため血液検査をし、意識状態を把握するため数日入院し、安全であると確認できないと退院はさせられないとのことだった。
複雑性熱性けいれんの場合は、脳症などの可能性が少し上がるようだ。
熱性けいれんを起こすと24時間以内が一番再発しやすいとのこと。
熱性けいれんは遺伝もあるので親で熱性けいれんをした者がいたか聞かれた。我が家は誰も該当しなかった。
熱が出たら積極的に解熱剤を使用した方がよいとのこと。熱性けいれんを抑える働きの座薬があるらしい。早速1回目投与された。
2時間後、血液検査の結果がでた。
脳細胞が破壊され、脳にダメージが加わると血液内の何ヵ所か、ある数値が大きく変わるらしいが、今回はすべて正常内だった。だから脳の病気による熱ではない。大丈夫とのこと。よかった。(血液検査の数値の見方は丁寧に教えてくれたが専門的過ぎてなんという名前かすべて忘れた。)
口の中が赤いのでウイルスかなとのこと。今朝も咳や鼻水はなかったと伝えると、鼻水など出る前に先に熱が出る子もいる、口の中が赤いし、これから鼻水なども出てくるかもね。と言っていた。
医師は原因を探ろうといろいろ質問してくれた。最近保育園では下痢が流行ってるんですよーとか、2週間前は手足口病が流行ってましたーと話しいて、手のひらと足の裏に薄く小さな赤い点が少しあるに気付く。
医師チームが3人くらいやってくる。
「手足口病の所見ですね。」
ほかの子に移るといけないので個室になり、個室から子供は出さないように言われる。
夜になると熱は40度になった。昼までよく食べてた子がほとんど食べず、嘔吐もして相変わらずぐったりしている。先生が熱性けいれんの影響でぐったりしているのではなく、大人と一緒で熱が高いから、しんどくてぐったりしてるんですよーと言っていた。
もしまた痙攣したらナースコールの近くにある緊急ボタン押してねと先生も看護師さんも口々に言っていた。それを押すと多くの医療者が一斉に飛んできてくれるらしい。
熱は40度。前回から6時間たったので、2回目の解熱剤投与。
翌日は37~38度に下がり、24時間が経過し痙攣は再度起きなかった。熱性痙攣の原因は手足口病によるウイルス、痙攣の再発もなかったので翌々日の退院が決定した。
3日目には平熱に戻った。もう元気もりもり。食欲はまだいつもの6割程度。退院の翌日には食欲も戻った。いや今までの食欲を取り戻すべく、その後は今まで以上に食欲が増している。
退院時医師からの話
今回は手足口病を起因とするウイルス性の熱が原因で複雑性熱性けいれんが起こった。
1回かかった子はまたなりやすいとも言えるし、次また熱性けいれんが起きて、5分以上けいれんしてたら迷わず救急車を呼んできてほしいとのこと。
救急車が到着するころには、けいれんは止まってるだろうけど、それで大丈夫。
救急車呼んだらまずいかなと悩んで様子見て、痙攣が30分続いてしまったら、脳の細胞が破壊されてしまうから、救急車ですぐきてねと言ってくれた。優しい笑顔の先生。
もう熱性痙攣にならないに越した事はないが、あの不安とプチパニックを思うと、そう言ってもらえてなんだか安心した。
退院後の診察にて
大丈夫だけど念のための退院後に診察をするとのこと。退院後4日後に行われた。顔色を見て、聴診器をあてて、もう心配はいらないという医師の診断だった。
手足口病は5日位でよくなるらしい。(実際5日間がピークで手足と顔に出た(口の中には出なかった)、6日目あたりから手足口病のぶつぶつがかさぶたに代わり、剥がれ落ちてきた。1週間たったころには酷かった部分もきれいになった。)ただウイルスは便から多く排出され2~4週間出るから、大人も感染に気を付けてとのことだった。
熱性けいれんは、先生の話によると1回で済む子と、2回3回と繰り返す子がいる。この子の場合も繰り返す体質かもしれないから熱を出した時はよく観察した方がよいとのこと。
発熱時に痙攣が起きやすいタイミングは3つあるらしい
- 熱の出始め
- 熱がある時のぐずり始め
- 熱が出てから24時間以内
熱が出たときは上の3つのタイミングに注意を払う必要があると先生が教えてくれた。
ちなみに、熱がないときに痙攣が起きるのであれば熱性痙攣ではない。それはたとえば、てんかんなど。てんかんと診断するには脳波やMRIなどしっかり調べてからの診断になるが、てんかんになる人の確率は熱性けいれんに比べとても低い。痙攣については今はとりあえずは発熱時に注意したらよいとのこと。
あとは、もし痙攣が起きた時は、時間を図る。5分を超えたら救急車を呼んで、また救急外来にきてくれてよいとのこと。30分もし痙攣が続くと脳にダメージが行くから救急車をためらわず呼んで大丈夫と言ってくれた。救急車が家に到着するころには痙攣は治まっているだろうけど、それで良い、とりあえずすぐ病院に来たら良いと再度話してくれた。
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